名古屋市の麻疹状況について(2018年10月12日現在)
名古屋市は、2018年10月12日に20代の女性が新たに麻疹を発症したと発表しております。9月27日に報告のあった麻疹患者のご家族とのことで、この家族からの感染が疑われています。
さて、注目すべきポイントは2つあります。
まず1つ目は、この20代の女性は麻疹含有ワクチンを2回接種済であったということです。それにも関わらず、麻疹を発症しております。よくワクチンは2回接種をということを言われていますが、2回接種していても免疫がついていなければ感染してしまいます。麻疹含有ワクチンは回数が重要なのではなく、きちんと免疫ができたかどうかを確認すること、つまり抗体検査が重要なのです。皆様も、今までのワクチン接種歴を確認するとともに、必ず抗体検査にて抗体がしっかりあるかどうかを確認してください。
もう一つは、この方は症状が出現する直前にフランス旅行に行っております。旅行から帰国後の翌日に発疹が出現して診断に至っております。発熱は認めておらず、修飾麻疹の可能性があると思われますが、本患者さんと飛行機で同乗していれば、免疫がついていない方は感染するリスクがあります。また、フランスをはじめヨーロッパでは現在麻疹が流行中です。
このように特に海外旅行においては、麻疹の感染の危険性が高いですが、国内でもいつ、どこで感染するかはわかりません。これだけグローバル化した社会では、常に感染症の危険性があるものと考え行動する必要があります。
当院では、海外渡航前はもちろんのこと、平常時より抗体検査を積極的に行っております。まだ、抗体検査をされていない方は、この機会に抗体検査をしてください。現在愛知県では風疹も流行しております。これ以上の麻疹および風疹の流行を防ぐためにも、麻疹と同時に風疹の抗体検査も行ってください。
名古屋市に住民票がある方で、風疹の抗体が低く、市の対象者にあたる方はMRワクチンの補助が出ます。詳細は名古屋市のホームページをご覧ください。